「羽月莉音の帝国」を一気に読みました。
面白かったのでご紹介をしたいと思いました。
あらすじだけ説明すると、ラノベテンプレです。
「わがままな女の子に振り回されて、普通じゃない部活を作って、個性豊かな面々とラブコメしつつドタバタする」という作品です。
しかし、この作品の本質は、ラノベらしさを失わないぎりぎりのラインで、ビジネス書的要素が含まれていることです。
この作品において、戦いは経済戦。武器や魔法は出てこないで、知識とハッタリと、そして現金で戦う物語です。
現実の経済知識や社会情勢を利用して、主人公達の「部活」が会社として成長していくという物語です。
最終的な目標は革命による建国。そして建国のためには軍事力が必要、軍事力をつけるためには資金が必要、じゃあお金を儲けよう、と次々と敵対組織を買収していくというストーリーです。
その大きさ・強さは資産で表され、1000円からスタートし、1巻の時点で423億7200万円まで増えるというお話です。
そして続刊でもどんどんとインフレしていき、最終的には世界と戦争をします。
その上で、これらの経済戦、大国との戦争に使われる手段は現実的なモノが多いです。
インサイダーぎりぎりのインサイダーとか、完全に違法だけれど誰も気づかないからOKとか、そういった手段で世界を巻き込んでいく戦いです。
また、巻が進んでいくと、中国の暴動問題などチャイナリスクの話があったり、銀行の不良債権問題があったりと、ビジネス書のようになってきます。
だからというか、ラノベの臭いは極限まで抑えられています。
ビジネスのスピード感のある物語です。
この話の中で一番現実的でないのを考えると、1巻の一番最初くらい。
まともにビジネスをゼロの状態から初めて、資金が100万円を越えるまでは相当辛いはずですが、そこだけはチート性能で乗り切ってしまいました。
気になったのはそこくらいで、あとは一気に読めてしまう作品でした。
飛び道具、ラノベらしくない作品ですが、しかしラノベであるからこそできる破天荒な物語ではあると感じました。
個人的に、この作品はかなりのヒットです。
ビジネス書もよく読むのですが、ある意味、そのビジネス書も越えていける物語性があって、素直に頭に入ってきます。
とりあえず読んでいるだけで経済感覚が麻痺するので、ぜひ読んでみてください。
こういった一芸特化で作っていく物語について、合う合わないはあるかもしれませんが、一気に尊敬したくなる作品でした。
作者、至道流星さんの作家買いを色々としたくなりました。
自分もこんな文章を書けるように、色々と研究してみたいです。
そんなこんなで。またあした。